鬼守の巫女

「巫女は一族に生まれる選ばれし者の事です。体に五芒星の証を持って生まれる女児。それがこの一族の巫女となります」

歩きながらそう言った彼の言葉に、ゴクリと息を呑む。

「……証」

そう小さく呟いて自分の胸元をギュッと押さえると、土室さんはそれを見て静かに頷いた。

「そうです。貴女の左胸にある星形の痣。それこそが巫女の証」

「……そんな」

強く胸を押さえたまま、窺う様に彼を見つめた。

……私の左胸には小さな痣があった。

星形の不思議な痣。

今までは大して気にする事もなかった。

それが……今こうして意味を成した時、私は背筋が凍るような感覚を覚えた。
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