鬼守の巫女

「三十八枚目……バツ」

男が淡々と結果を読み上げたその瞬間、辺りにまたどよめきが起こった。

そう七枚目のバツ。

六枚は火伏家の人達の票と私の票だと、皆は分かっていたのかもしれない。

しかしこの七枚目は……当主の中に反対している者が居るという事実を示していた。

……多分木住野さんの票だと思う。

代表たちは窺う様にこちらを覗き見て来るが、木住野さんは澄ました顔で何事も無いかのように穏やかな笑みを浮かべていた。
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