鬼守の巫女

「十六年前、ここで一人の巫女が生まれました。しかしある男がその巫女を浚い、姿を消した。それが貴女と……我が一族に一級罪人として追われていた七宮拓郎です」

「……お父…さん?」

「あの男は貴女の父親ではありません。本当のご両親は他に居ます。二人とも……お亡くなりになられましたが」

そう言って彼は少し悲しそうに瞳を揺らすと、微かに俯いた。
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