鬼守の巫女

「……待って下さい!!凪様は今まで父親の様に慕っていた男の処刑が決まり、少し興奮なされているだけです!!」

男の進路を塞ぎ土室さんが額に汗を滲ませながら声を荒げた。

「ほう。私に意見すると言うのか」

「い、いえ……決して逆らうつもりは……しかし!!」

「どけ」

朧源のその冷たい呟きに土室さんは困惑した様に瞳を揺らすと、切なそうに顔を歪め……そっと道を開けた。

朧源は土室さんの横を静かに通り過ぎると、そのまま部屋から出て行ってしまう。

その後ろを馨さんと彩乃さんが青い顔をして足早に追って行くと、その後を追って私を担いだ男が歩き出した。
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