鬼守の巫女
「ちょっと!!放してよ!!歩く!!自分で歩くから!!」
バタバタと必死に暴れると、黒服の男は困った様に溜息を吐いて、私をそっと床に下ろした。
しかし男にガッチリと腕を掴まれ、どうやら逃げる事は叶わないらしい。
抵抗は諦め素直に男の後を着いて行こうとすると、突っ立っていた小金井さんと目が合う。
「朧源様怒らせたら怖いって言ったよね。まぁ、せいぜい死にたくならない程度に頑張って。俺、まだ死にたくないから」
小金井さんは困った様に笑ってそれだけ言うと、そのまま部屋から出て行ってしまう。