鬼守の巫女

「それならば選べ」

「……え?」

朧源の小さな呟きに、小さく声を漏らし、そっと顔を上げる。

「お前に足りないモノを教えてやろう。それは……《自分を犠牲にする覚悟》だ」

「……犠牲にする……覚悟」

朧源の言葉をそのまま呟いて返すと、朧源は小さく頷いて見せる。

「救いたい、救いたいとお前は言いながら、結局自分が傷付く選択肢は絶対に選ばない。あれは嫌、これは嫌。そんな事で誰かを救えるとでも思っているのか?」

朧源のその問いに、ズキリと胸が痛む。
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