鬼守の巫女

「今ここで私に抱かれろ。そうすれば二人の命は助けてやろう」

「……なっ!?」

朧源の放ったその条件に、思わず声を漏らす。

朧源は困惑する私の姿を見てクスクスと笑いながら、後ろの襖を開く。

するとそこには薄暗い部屋の中に敷かれた、布団の姿が見える。

そのあまりにも現実的な存在に、思わず一歩後ずさった。

……抱かれる?

……この男に?

自分自身への問いに思わず微かに体が震えた。

……そうすれば二人を救える。

……でも……

ドクドクと壊れそうなぐらいに鼓動を速める胸を押さえたまま、困惑の瞳を朧源に向ける。
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