鬼守の巫女

……ほんの少し、ほんの少しの間、我慢すればいい事。

何も命を取られる訳じゃない。

そうすれば、二人の命を救えるんだから。

……どっちが大事なのか、考えればすぐに分かる事。

物凄い速さで、その思考が私の頭を浸食していく。

……抱かれればいい。

……この男に。

私の思考はその答えをはじき出した。

しかし……私の唇は微かに震えたまま、一向に言葉を紡ぎ出さない。

私の体が……心が……それを拒絶していた。
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