鬼守の巫女
「皇楼の全景を把握しろと言わなかったか?」
「……昨日の今日で覚えられるワケ無いでしょ!?」
「石は……手に入れていないな」
私が答えるよりも早く、魏戎は自分で答えを出してしまうと、大きな溜息を吐く。
「……ご、ごめんなさい」
そう小さく謝ると、魏戎は少し驚いた様に私を見つめ、それから首を横に振って笑った。
「謝る事は無い。すまなかったな。……少し嫌な思いをさせた様だ」
魏戎はそう言って私の乱れた制服を見て切なそうに赤い瞳を揺らした。
その瞬間、どこからか大きな衝撃音が聞こえて来た。