鬼守の巫女

「……どうやら向こうの様だな」

魏戎はそう言って音の聞こえた方へ向かって走り出す。

「な、何なの!?」

「魅麗と瑠愧もここに来ている。お前が木に刻んだあの刻印の場所に出るつもりだったんだが、いきなり進路を変えられてな。……お前の場所に出てしまった」

「……出るって……どっかから飛んで来れるの?」

その問いに魏戎は小さく頷くと、微かに後ろを振り返る。

「琥珀……あの猫の式神には転送能力があってな。異次元ワープと言ったところか。あいつが勝手に俺をあの場に移したせいで、二人とは別の場所に出てしまったらしい」

そう言って魏戎が困った様に笑うと、また激しい爆音が辺りに響いた。
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