鬼守の巫女
第三十七章 二つの石
魏戎に抱き抱えられたまま廊下を進むと、広い空間に飛び出した。
ザッと魏戎の靴が地面を擦る音が聞こえた後、どこからか甲高い金属音と誰かの叫びが聞こえて来た。
視線を移すとそこには武器を手にした一族の人達の姿が見える。
そしてその中心に、瑠愧と魅麗の姿が見えた。
瑠愧の手にはまるで死神の持っている様な大きな鎌が握られ、魅麗は銀色に光る鞭を手にしたまま妖艶な笑みを浮かべている。
二人が華麗に武器を振るうと、空気を切り裂く音の後に赤い飛沫が宙を舞い、誰かが力無く地面に崩れ落ちる。
魏戎は臆する事無く二人に向かって走り出すと、混戦状態の人達の上を飛び越え、二人の近くに着地した。