鬼守の巫女
「血生臭いな」
魏戎は眉を顰めてそう呟くと、鉄格子の並ぶ薄暗い廊下を歩いて行く。
火伏さんの所とは比べものにならないくらいの重苦しい空気に、途轍もない不安に駆られる。
……こんな場所、お父さんがいなければ絶対に来たくない。
血生臭くどこか歪な雰囲気のこの場所は酷く心をざわめかせた。
……ここで人が何人死んだのだろうか。
そんな事を漠然と考えながら進んでいると、前を歩いていた魏戎が突然立ち止った。
そのせいで魏戎の背中に鼻を強打し、鼻を押さえたまま必死に痛みを堪える。
「急に立ち止まらな……」
そこまで言って、目に入ったその姿に、ゴクリと息を呑んだ。