鬼守の巫女
第三十九章 選択の時
「にゃ」
その気の抜けた緊張感の欠片もない鳴き声と共に、今正に闘い合おうとしている私達の丁度ど真ん中に黄色い猫が姿を現した。
その場にいた誰もが言葉を失い、ただ真っ直ぐにその猫の方を見つめている。
しかしその猫よりも、更に目を惹くものがあった。
猫の隣には……一人の男が立っている。
穏やかな笑みを湛えたまま、そっと猫の頭を撫でる男の姿。