鬼守の巫女

「裏切るのか……一族を。……この俺を」

微かに震え、消えてしまいそうに小さなその呟きに、木住野さんは切なそうに瞳を揺らした。

「僕は自分で選んだだけだよ。自分の……信じる未来を」

木住野さんはそれだけ言うと、こちらを振り返る。

「乗って下さい!!このまま逃げます!!」

木住野さんのその叫びに、皆が顔を見合わせる。

……乗るって……この猫に?

目の前の猫を見上げたままヘラっと気の抜けた笑みを浮かべると、次の瞬間、体が宙に浮いた。
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