鬼守の巫女
「しっかり掴まっていろ」
その魏戎の言葉と共に、フサフサの毛の感触がした。
「玲!お前も来い!!」
猫に飛び乗った火伏さんがそう叫び、眞水さんに向かって手を差し伸べる。
しかし眞水さんは差し出された手を悲しそうに見つめたまま……静かに首を横に振った。
「俺は行けない。すまない……捺」
眞水さんはそう答えると、静かに馨さんを見つめる。
馨さんはその視線に気付くと、それから逃れる様に顔を背け俯いてしまった。
眞水さんの悲しい呟きに、火伏さんは苦しそうに眉を顰めると、悔しそうに拳を握り締める。