鬼守の巫女
「……朧源様……一体何が……」
土室さんは朧源に困惑の眼差しを向けると、私達と朧源を交互に見つめる。
しかしそれに朧源は何も答えないまま、不敵な笑みを浮かべた。
「いずれお前達はこの場に戻って来る。自ら……望んでな」
朧源の微かな囁きと共に皆が一斉に猫に飛び乗ると、猫は小さく唸り木住野さんを呼んだ。
そして猫に木住野さんが飛び乗ると、猫は真っ直ぐに朧源に向かって走る。
するとそれを阻止しようと二匹の巨大な犬が飛びかかって来るが、猫はそれをあっさりと避けると、朧源の頭上を飛び越え、そのまま屋根の上に着地した。