鬼守の巫女

猫はそのまま屋根を飛び進むが、その後ろを犬達が凄い速さで追って来る。

ピョンピョンと屋根の上を猫が飛ぶ度にガクンと体が大きく揺れ、振り落とされない様に必死に掴まる。

すると微かに……懐かしい香りがした。

魏戎が私が振り落とされない様に、そっと体を支えてくれている。

彼の体温と香りを感じたまま、微かに頬が赤くなるのが分かった。

心臓がバクバクと鼓動を速めて行くが、色んな事が一度に起こり過ぎて、果たして自分が何にドキドキしているのかも分からない。

……私の心臓、もう駄目かも。

そんなどうでもいい事を考えているその間も、猫は凄い速さで屋根の上を飛んでいく。
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