鬼守の巫女
「な、なんで?」
ポカンと口を開いたまま視線を落とすと、地面に大きく描かれている不思議な模様がハラハラと消えて行くのが見えた。
「消されたみたいだ。……もうあの場所には出られないね」
消えて行く不思議な模様を眺めたまま瑠愧が小さく呟くと、それに木住野さんが頷いて返す。
すると猫から白い煙が立ち昇り、次の瞬間、元の小さな姿へと戻った。
猫はトコトコと駆け出し木住野さんの肩に飛び乗ると、嬉しそうに木住野さんに顔を摺り寄せている。
その隣では魅麗が気だるそうに大きな溜め息を吐いているし、その奥では父が少し険しい顔をして皆の様子を窺っていた。