鬼守の巫女

「僕は小さい頃は体が弱くて……たまに皇町を離れて療養地に行く事がありました。そこで瑠愧と仲良くなったんです」

木住野さんはそう言って笑うと、テーブルの上でプチトマトを頬張る猫をそっと抱き上げた。

「琥珀は元々僕の式神だった。でも瑠愧との友情の証にこの子を渡したんです。僕にとって一番大切な……この子を」

木住野さんのその言葉に猫は小さく鳴いて答えると、プチトマトを抱えたままコクコクと頷いて見せる。
< 531 / 912 >

この作品をシェア

pagetop