鬼守の巫女
「お前、それ!勝手に持ち出してきたのかよ!?」
木住野さんの置いた石を見て、火伏さんが少し驚いた様に声を上げる。
「この石は各家の本堂に祭られていた石です。何かに使えればいいと思って持って来ましたが……やはり意味があったんですね」
木住野さんはそう言って困った様に笑うと、ポリポリと頭を掻いた。
「凪、触れて見ろ」
魏戎のその言葉に促され、そっと目の前の石に手を伸ばす。
少し息を呑んでから思い切って石に触れると、その石は眩い光を放った。
そして次の瞬間、美しい翡翠色の石が姿を現した。