鬼守の巫女
「また……眠れないのか?」
クスリと笑う微かな吐息と共に、今はもう聞きなれた男の声がする。
そっと後ろを振り返ると……そこには魏戎が立っていた。
魏戎が私の答えを待つように首を傾げると、彼の銀色のサラサラの髪が美しく揺れる。
「……うん」
小さくそれだけ答えると、また窓から月を見上げた。
微かに雲の掛かる朧月の淡い光が、静かに私を照らしている。
魏戎は何も言わないまま、私の座っているソファーの背凭れに腰掛けた。
彼と背中合わせの状態で、彼の気配を感じたまま……ただ静かに時が流れて行く。