鬼守の巫女

「どうして魏戎は……私を助けてくれるの?」

その私の問いに、魏戎は少し目を見開くと、それから微かに笑みを浮かべる。

「それはお前と約束したからだろう?結界を壊す協力をお前にしてもらう代わりに、お前を守ってみせると……」

「どうしてそんなに回りくどい方法を取るの?貴方言ったよね……私の心臓を食べれば凄い力が手に入るって。どうして……私を食べないの?その方がもっと早く結界を壊せるんじゃないの?」

まるで責め立てる様なその問いに、魏戎は少し考える様に俯いてしまう。

「ねぇ……どうして?」

そう言って真っ直ぐに魏戎を見つめる。

すると彼の赤い瞳が私を捉え、それから目を離せないままゴクリと息を呑んだ。
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