鬼守の巫女

「鬼と人間は似ている様で全く違う。……所詮は相容れない存在なのかもしれないな」

魏戎はそう言うと、悲しそうに笑った。

その笑みはどこか消えてしまいそうに儚く、とても寂しい笑顔に見えた。

「私は鬼と人間が一緒に生きていけるって信じたい。でもそれってやっぱり……甘い考えなのかな」

そう小さく呟くと、魏戎は驚いた様に目を見開いて私を見つめた。

「いや……そんな事はない。俺もそう思いたいよ」

魏戎はそう言って優しく笑うと、ポンポンと私の頭を撫でる。

その彼の言葉に……溢れる様に頬を涙が伝って行った。

急に泣き出してしまった私に、魏戎は少し慌てた様に私から手を離す。
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