鬼守の巫女

「食べちゃだめだよ。まだ子供過ぎて、何の力も備わってないし」

少年が男に向かってそう言うと、男は深い溜息を吐いて肩を竦めて見せる。

「お前は本当に甘いな。鬼一族の未来が掛っているんだぞ?」

「……分かってるよ。でも今はまだ早いでしょ」

少年は素っ気なくそう答えると、状況が理解出来ず、ポカンと口を開いて二人を見ていた私を見つめた。
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