鬼守の巫女

「鬼は太古の昔からこの国に住み着いている妖怪の一種だ。闘争本能が強く、人を喰らい、そして全てを破壊しようとする悪しきモノ。それが鬼だ」

「……悪しきモノ」

「鬼は普段は普通の人間に紛れて生活をしている。見た目は普通の人間となんら変わりない。まぁ……上位の鬼は、全体的に美しい容姿をしているがな。それも人を惑わし狩る為にそう生まれてくるらしいが」

常識では理解出来ない男の話を聞きながら、小さく頷き続ける。

昨日までの私だったら、こんな怪しい集団の男の話など真剣に聞く気にならなかっただろう。

しかしあの鬼の男の赤い瞳や、異形のモノの姿、それから火伏さんと眞水さんの手から消える武器に、この不思議な建物。

それを目の当たりにした今、私は意外と冷静に男の話を受け入れて行った。
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