鬼守の巫女
「一人で外にいたら危ないよ。お父さんも心配してると思うし、家に帰った方がいいと思う」
「……もうお家にはかえりたくない」
少年の諭す様なその言葉にブンブンと首を横に振って答えると、少年と男は顔を見合わせて困った様に溜息を吐いた。
「にゃ」
急に私の肩に乗っている猫が小さく鳴き、ピョンと地面に飛び降りる。
猫は公園の芝生まで走って行くと、何かを手にして戻って来た。
猫はそのまま私の手の平に飛び乗ると、黄色い手を真っ直ぐに差し出して来る。
その猫の手には……タンポポの綿毛が握られていた。