鬼守の巫女

「そろそろ行くぞ。いつまでもここに居る訳にもいかない」

男のその言葉に少年と猫が小さく頷く。

「かえっちゃうの?」

皆が帰ってしまう事を理解した途端、どうしようもない不安を覚えた。

……また私は一人ぼっち。

「……行かないで。……行かないで」

そう言って引き止める様に、男の服の裾をギュっと掴みポロポロと涙を零す。
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