鬼守の巫女

服を握り締める私の手を男は静かに見つめていると、次の瞬間、私の前にしゃがみ込む。

私の目と男の目が真っ直ぐに合ったその時、男の瞳が……真っ赤に染まっていった。

まるで血の様な……赤い瞳。

それから目を離せないまま、パクパクと口を開く。

「俺達は鬼だ。人間を喰らう悪い鬼」

男のその言葉にゴクリと息を呑むと、そっと少年を見つめる。

すると少年は目深に被っていた帽子を指でそっと押し上げた。

そこには男と同じ様に、血の様に真っ赤な瞳が光る。
< 576 / 912 >

この作品をシェア

pagetop