鬼守の巫女

「……きれい」

思わずそう呟いた。

その私の答えに二人は少し驚いた様に顔を見合わせると、困った様に眉を顰める。

二人は私を怖がらせて追い払うつもりだったらしいが、私は二人の赤い瞳を……美しいと思った。

「まっ赤な目……すごくきれいだね」

そう言ってニッコリと笑みを浮かべると、二人は悲しそうに表情を曇らせてしまった。

男は何も言わずに立ち上がると、そのまま公園の奥へと向かって歩き出す。

その後ろを、猫を肩に乗せた少年がついて行く。
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