鬼守の巫女
「鬼はこの世界を掌握しようとしている。人間を滅ぼし、自分達の狂気と混沌の世界を創り出そうとしている。それを止める為に……この皇一族は存在するんだ」
「……巫女は何をするの?」
「巫女は生まれながらに鬼を封じる力が宿っている。私達のこのビルは、大きな結界になっているんだ。このビルを中心に、火伏、眞水、小金井、土室、木住野のビルが五芒星の形に建っている。それ自体が大きな結界の役割を担っているんだ」
「……結界」
「その結界の中心であるこの皇楼で巫女は祈りを捧げ、鬼を封じ続けてきた。この結界がある限り鬼は力を失い、殆ど普通の人間と変わらない存在になる。その上で我々が影ながら鬼を倒していた。しかし……今はその結界の効果も薄れてしまっている」
男はそう言うと、真っ直ぐに私を見つめた。