鬼守の巫女

「……無事でよかった。本当に……よかった」

父は声を震わせそう繰り返しながら、ギュッと私を抱き締める。

父の激しい鼓動の音と汗の香り……それから父の温もりを感じながら、小さく胸が痛んだ。

「ごめんなさい。ごめんなさい……お父さん」

そう言って涙を流しながら父をギュッと抱きしめ返す。

すると父はポンポンと私の頭を撫でてくれる。

父の大きくて温かな手に撫でられていると、不思議な安堵感に包まれた。
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