鬼守の巫女

「……帰ろう。家に帰ろう」

父はそう言って私の手を取ると、優しく笑った。

薄暗い公園を、父に手を引かれたまま出口へと向かって行く。

その途中……そっと後ろを振り返る。

するとそこには切なく揺れる美しい月と……誰も居ない静かな公園が見えるだけだった。
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