鬼守の巫女

……全てを救う事なんて出来ない。

二人の悲しい笑みを見つめたまま、ふとそんな事を思う。

……でも私はやらなくちゃいけない。

この二人の気持ちを……私を守ってくれたあの鬼達の気持ちを裏切ってはいけない。

……私は私にやれる事を精一杯やろう。

それが偽善でも、綺麗事でも、ただの強がりでも、なんでもいい。

この人達の気持ちは……絶対に裏切らない。

急に黙ってしまった私を見つめて、不思議そうに首を傾げている二人を真っ直ぐに見つめたまま……そう誓った。
< 597 / 912 >

この作品をシェア

pagetop