鬼守の巫女
「俺達には分からないのです。何を……信じればいいのか」
刀を手にした火伏さんに臆することなく、少年は小さく呟く。
「俺達にとって捺様をお守りする事が全てだった。それなのに……貴方は今、一族の一級罪人として追われている。ましてや鬼に手を貸すなど……正気の沙汰とは思えません」
彼のその言葉に火伏さんはほんの少しだけ、悲しそうに瞳を揺らした。
「教えては頂けませんか?……貴方は何をなさる御積りなのかを」
そう言って彼はとても真剣な目をして、火伏さんを見つめる。