鬼守の巫女
「分かった。条件を呑む」
「交渉成立だな。しかし七宮を捕らえたのが火伏で助かったな。アイツはああ見えて優しい男だ。小金井家に預かられていたら、もう死んでいたかもしれないな」
そう言って男はクスクスと笑うと、襖へと視線を向けた。
「巫女を部屋に案内しろ」
「……はい、朧源様」
男の呟きに襖がそっと開かれると、そこには一人の少女が立っていた。
真っ黒のサラサラの長い髪を微かに揺らし、紫の着物に身を包んだ少女。
少女は憂いを帯びた瞳に、儚げな笑みを浮かべている。
……か、かわいい。
その美しい姿に、自分が女である事も忘れ、思わず見惚れてしまった。
「ご案内致します……巫女様」
そう言ってニッコリと笑った少女に連れられ、まるで迷路の様な入り組んだ廊下を歩いて行った。