鬼守の巫女
「いきなりこんな所に連れて来られて、さぞかしご不安だと思います。しかし信じて下さい。私達は貴女を傷付けるつもりも、悲しませるつもりもありません。ただこの国と……そして大切な人達を守りたいのです」
彼女は真剣な顔をしてそう言うと、強く私の手を握った。
その白く温かな手の温もりを感じたまま、静かに俯く。
……これからどうしたらいいのか。
……お父さんにはもう会えないのか。
……学校は?友達は?
……見たかったテレビや、借りたかったCD。
少女の手の温もりを感じたまま、色んな考えが頭を巡っていた。