鬼守の巫女
「凪!!早く石を取れ!!」
その火伏さんの叫びにハッと顔を上げると、そのまま祭壇に向かって走り出す。
「なっ!!卑怯だぞ!!」
土室さんは祭壇に向かって走っていく私を振り返りながら、必死に火伏さんを引き剥がそうとしている。
しかし彼が火伏さんを引き剥がすよりも早く、私の手が祭壇に祭られていた灰色の石に触れた。
その瞬間、辺りに眩い光が広がり、思わず目を瞑る。
そしてその光が納まった後にそっと目を開くと、そこには琥珀色をした不思議な石が微かに光っていた。