鬼守の巫女
「……眠れないの?」
急に聞こえた声に振り向くと、そこには……瑠愧が立っていた。
「……うん。ちょっとね」
私がそう答えた瞬間、瑠愧の肩に乗っていた琥珀がトコトコと私に走り寄って来る。
そっと琥珀に向かって手を差し伸べると、琥珀は私の手の平に飛び乗り嬉しそうに喉を鳴らした。
瑠愧は私の隣に静かに腰を下ろすと、そっと空を見上げる。
月明かりが彼を優しく照らし、彼の不思議な赤い瞳が儚く揺れた。
その美しい姿を見つめたまま、微かに笑った。