鬼守の巫女

「……瑠愧は変わらないね。ずっと昔と一緒」

その私の呟きに瑠愧は少し驚いた様に目を見開くと、私を見つめる。

「思い出したの?……昔の事」

瑠愧のその問いにコクンと頷いて答えると、瑠愧は少し悲しそうに目を伏せ俯いた。

「僕は人間が好きだよ。優しくって温かくって可愛くて……僕は人間が大好きなんだ」

瑠愧はそう言うと微かに笑みを浮かべる。

「勿論嫌いな人間もいるよ。でもね……鬼にもいい奴と悪い奴が居る様に、人間にだっていい人と悪い人が居る。そう……思ってるんだ」

とても真剣な顔をして語る瑠愧の言葉に、静かに頷き続ける。
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