鬼守の巫女

「稔はとても優しい子だったんだ。稔は体が弱かったから、たまに療養で空気の綺麗な所に来ていたらしい。そこで……僕達は仲良くなった」

瑠愧は遠い記憶を懐かしむ様に語り続ける。

「初めは僕を普通の子供だと思っていたらしい。自分と同じ様に遊びに来ている子供だと。勿論僕も……稔を普通の子だと思っていた。だから僕は……本当の事を言えなかった。鬼だって知られてしまったら……もう遊べなくなってしまうのが怖くて。嫌われてしまうのが……とても怖かった」

悲しそうに話す瑠愧を見つめたまま、そっと頷く。
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