鬼守の巫女
「稔は次の日、皇町に帰る事になっていた。でも別れる最後の日、僕にこの子をくれたんだ。稔の……一番大切な式神のこの子を」
「にゃ!」
瑠愧の言葉に答える様に琥珀は小さく鳴くと、嬉しそうに喉を鳴らす。
「稔は最後に言ってくれた。《……ずっと友達だ。一族も鬼も関係ない。例え離れ、どんなに残酷な未来が待っていたとしても……僕等の友情は永遠だ》と。僕はずっとそれを信じて来て、そして僕等は今……同じ道を歩いている」
瑠愧はそう言うと、私を真っ直ぐに見つめた。
彼の美しく切ない赤い瞳に、私の姿が映し出されている。