鬼守の巫女

「ねぇ……凪」

「……ん?」

瑠愧の呼び掛けに小さく首を傾げて答える。

「凪は魏戎の事を……信じてる?」

そう言って彼はとても真剣な顔をして私を見つめた。

「またその質問?」

そう答え肩を竦めて笑って見せると、瑠愧は少し目を見開いて、それから頷いた。

「魅麗にも聞かれた?」

「……うん」

瑠愧の問いに頷いて答えると、瑠愧は「そっか」と呟いて空を見上げる。

「魅麗の話、聞いたんだよね」

「……うん。好きな人が居たって……」

その私の答えに瑠愧は悲しそうに笑うと、それから静かに口を開いた。
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