鬼守の巫女

「魅麗が食べたんだよ。……生きる為に」

瑠愧の口から放たれた残酷な現実に……思わず声を失った。

「僕達と一緒に行動する前……魅麗は孤独な鬼だった。鬼の仲間に入らず、人間の社会に溶け込むわけでもなく……ただ静かに朽ちようとしていた」

「……朽ちる?」

「魅麗は人間を喰らう事を拒んだ。鬼が生まれてから結界に生命力を吸われて生きられる期間は……だいたい十数年がいい所だ。全てを吸い取られる前に人間を喰わなければ……塵になり消えて行くだけだ。でも魅麗はその朽ちる未来を望み……そして消える覚悟をしていた。優し過ぎたんだよ……魅麗は」

瑠愧は悲しそうに語り続ける。
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