鬼守の巫女

「そんな時、魅麗は一人の男と出会った。それが……その彼だよ」

瑠愧のその言葉で……何となく理解してしまった。

……多分それは……悲しい鬼の恋物語。

そしてその最後は……残酷な結末が待っている。

「魅麗とその男は恋に落ち、そして男は知った。鬼の事、彼女の命が残り少ない事、人を喰わなければ生きられない事を。そして男は決意した。……自分の命を彼女に捧げると」

「……魅麗はそれを……受け入れた」

私の震える呟きに瑠愧は静かに頷くと、そっと私の頭を撫でる。

私が……泣いているからだ。

私の頬を溢れる涙が伝って行く。
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