鬼守の巫女

「うちのビルまで出向く必要なんてないですよ……捺サン」

その囁きと共に嘲笑う様な吐息が何処からか聞こえた。

「どうしてココが分かった……昇馬」

火伏さんのその問いと共に、皆の視線が薄暗い入口へと向けられる。

そこには金色の髪を靡かせ、不敵な笑みを浮かべる少年の姿が見えた。

「何があったのか知らないけど、夜中に巫女サマの気配を感じたんだ。それでここを見つけたって事」

そう言って小金井さんはニヤリと笑うと、私達を見回した。

「それにしてもココは臭いな。裏切り者と……鬼の臭い。吐きそうだ」

小金井さんはそう言って不快そうに眉を顰めると、蔑む様な瞳で魏戎を見つめる。
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