鬼守の巫女
「昇馬……君が深く一族を信仰している事、鬼を憎んでいる事はよく知っている。それでもあえて言う。……君は戦う事を望んでいない」
木住野さんはそう言って真っ直ぐに小金井さんを見つめる。
突然の木住野さんの言葉に、小金井さんは少し眉を顰めると、それから微かに笑みを浮かべた。
「なぁ……稔。俺達は友達だった。……少なくとも俺はそう思っていた。お前は違うのか?」
小金井さんはそう言うと、小さく首を傾げて見せる。
「僕もそう思っているよ。……今でもね」
木住野さんのその答えに、彼はグッと強く拳を握り締める。