鬼守の巫女

一人きりの広い部屋。

その中央に敷かれた布団の中で、ボーっと天井を見上げた。

茶色い板の木目が不思議な形に見え、それを眺めたまま今日起こった出来事を思い出す。

……そう、今まで当たり前の様に過ごしていたあの街。

学校に行って、勉強して、友達と遊んで、家に帰ればお父さんが居て。

お父さんが作ってくれたあまり美味しくない、でも愛情一杯の夕飯を食べながらテレビを見て、二人で今日の出来事を話し合う。

……そんな日常。

今では遥か遠い昔の様に感じる。
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