鬼守の巫女

「怖がる事なんて無いよ。ちょっと痺れて眠るだけだ」

そう言って残酷な笑みを浮かべた彼の手に、その青白い光は集まって行く。

「……それじゃ、おやすみ」

その彼の囁きと共に、激しい電撃が私に迫って来る。

……もうダメ!!

全てを諦めギュッと目を閉じたその瞬間、辺りに激しい煙が立ち上った。

モクモクと灰色の煙が辺りを覆い……何も見えない。

しかし……何ともない。

痛みも衝撃も感じないまま、茫然と揺らめく灰色の煙を見つめていた。

その煙は吹き抜けていく強い風に流され……そしてそこに見えた姿に声を失う。
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