鬼守の巫女
第五十五章 遠き幻想
その瞬間は……とても長く感じた。
激しい轟音と共に迫り来る光の塊から目を離せないまま、立ち尽くす私の前に……二つの影が過る。
そしてその影に光の塊が触れた瞬間、辺りに激しい衝撃音が響く。
それと共にコンクリートの地面が揺れ、目も眩む様な光が辺りを覆い尽くした。
そしてその後に残ったのは……まるで泣いている様な風の音と……地面に転がる二つの影の正体。