鬼守の巫女
「……だから……そんな事……そんな悲しい事……言わないで」
その美しい瞳を見つめたまま震え擦れた声でそう呟くと、私の頬をボロボロと涙が伝って行く。
それを見て彼は悲しそうに表情を曇らせると、キュッと唇を噛み締める。
「……すまなかった」
その言葉と共に……腕を引かれ強く抱き締められた。
彼の香りと温もりに抱かれたままそっと目を閉じると……遠くで誰かの声が聞こえる。
《……だめよ……その……鬼を……信じては……だめ》
……だ……れ?
愛しい彼の温もりを感じたまま、そっと目を開いたその時。